じつは傷を早く治すため!? 猫がのどを鳴らしている音「ゴロゴロ音」の秘密
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猫がのどを鳴らす音「ゴロゴロ音」。みなさんは、猫がどんなしくみでゴロゴロ音を出していて、どんなシーンや理由でのどを鳴らすことが多いのかご存じですか? 今回は、猫のゴロゴロ音の新事実や豆知識について、愛玩動物看護師の小野寺温先生に伺いました。
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猫がのどを鳴らすメカニズムは“いびき”に近い
猫がのどを鳴らすしくみは諸説あり、これまでは「のどの内側の筋肉が収縮→声帯が振動→ゴロゴロ音」という説が濃厚でした。
しかし、近年の研究で「のどを通る空気の流れの作用で声帯が振動」しているという新説が出ています。これは睡眠中、空気が通るときに生じる振動音の「いびき」に似たメカニズムといえそうです。ただ、現在も完全には解明されてはおらず、猫のゴロゴロ音についてはいまだに謎が多いのです。続きを読む -
猫のゴロゴロ音に関する豆知識
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猫は狩りの傷を早く治すためにのどを鳴らすようになった
猫は野性時代、ネズミや鳥などの獲物を捕食しながら生きていました。狩りのときには獲物に反撃されることもあり、猫は生傷が絶えなかったことでしょう。一説では、猫はそのような狩りでできた体の傷を早く治すために、低周波音であるゴロゴロ音を自身で発する技術を身につけたといわれています。
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猫のゴロゴロ音は人の健康にもいい影響がある
ゴロゴロ音は猫自身の傷を早く治すだけでなく、飼い主さんの心を癒やしたり、健康にいい影響を与えたりする効果があるのではないかといわれています。病気を劇的に回復させることはできませんが、いい状態を維持する効果があると考えられており、将来的に、人の認知症などの予防にいかされる日が来るかもしれません。
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のどを鳴らさない猫もいる
母猫ののどの鳴らし方をまねて、子猫はその技術を習得すると考えられています。そのため、ほとんどの猫はのどを鳴らしますが、生後まもなく母猫から離れていると、のどを鳴らさない猫もいます。
また、ゴロゴロの音量には個体差があり、鳴らさないと思われている猫のなかには、人が聞き取れないくらい小さい音でのどを鳴らしている可能性もあります。続きを読む -
苦痛を感じているときにものどを鳴らす猫がいる
じつは、ゴロゴロ音はリラックスしているときだけでなく、動物病院の診察台の上や、爪切りをされるときなど、猫が苦痛や不安を感じているときに鳴らすケースもあります。ゴロゴロ音を出すことで、猫自身を落ち着かせる効果があると考えられています。
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そのときの状況によって音の高さが変わる
ゴロゴロ音には、リラックスしているときに鳴らす、1秒間に25回ほど振動する「約25ヘルツ」のものと、苦痛を感じているときに鳴らす「約40ヘルツ」の2種類があります。
ヘルツの数字が大きいほど高いので、苦痛を感じているときほど高い音になります。ただ、小さな差なので、人の耳で聞きわけるのは難しいでしょう。続きを読む -
猫がゴロゴロ音を鳴らすシーン
飼い主さんとふれあっているとき
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飼い主さんにやさしくなでられるのは、母猫にやさしく毛づくろいされているようなもの。のどを鳴らすことで、「幸せだよ~」と伝えているのかもしれません。
くつろいでいるときや眠いとき
日なたぼっこ中にくつろいで、ウトウトしながらのどを鳴らす猫もいます。ポカポカと暖かくて「気持ちいいな~」と感じると、ついゴロゴロ音が出るのでしょう。
布団などをフミフミしているとき
前足でフミフミするのは猫がお乳を飲むときのしぐさの名残で、子猫はゴロゴロ音で、母猫に「ここにいるよ~。おいしいよ~」と伝えます。どちらもお乳を飲むときの行動なので、成猫になってからも無意識に連動して、のどを鳴らしているのかもしれません。
飼い主さんにアピールしたいとき
フードがほしいなどおねだりをするときに、のどを鳴らしてアピールします。これは「のどを鳴らしたときにフードをもらえた」などの成功体験から学習したものです。さらに、ゴロゴロ音に「ニャ~」の鳴き声をかぶせて、猛烈にアピールするパターンもあります。
ブラッシングされているとき
ブラッシングされるのが好きな猫のなかには、ゴロゴロ音を出してよろこぶ猫もいます。ブラシのピンの部分が、猫の舌のトゲと感触が似ているので、母猫になめてもらっている気分なのかもしれません。
ゴロゴロ音は、飼い主さんと猫の間の大切なコミュニケーションツールでもあります。愛猫がどんな状況のときにゴロゴロ音を鳴らすのかよく観察して、日々のコミュニケーションに役立ててみてくださいね。
お話を伺った先生:小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2024年12月号『「ゴロゴロ…」「ニャン!」でコミュニケーションをとってます 鳴らして♪鳴いて♪猫の音』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。続きを読む - 記事一覧に戻る